チビすけ飛行訓練場

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【DCS World】飛行場における航空交通管制(ATC)を徹底解説

はじめまして、チビすけです!

YouTubeをご覧になっている方は、日頃よりお世話になっております。

この度、「チビすけ飛行訓練場」をはてなブログに開設いたしました。

DCS WorldやMinecraftサバゲー関連の情報を不定期で載せていきますので、よろしくお願いします。

 

 

今回は、YouTubeのコメント欄でもそこそこ要望が多かった「DCSでの無線通信」について解説していきます。

無線通信と言っても、用途や状況に応じて多種多様なルールや決まり事があり、単一のページでは解説しきれませんので、今回は基本的な部分から始めて行きましょう。今回はATCについて解説します。

 

 

そもそもATCって何?

ATCAir Traffic Control)とは、飛行場や空中での事故を防ぐため航空機が必ず行わなければならない無線通信のことです。

本ページではSRS(Simple Radio Standalone)というVoIPモジュールの導入を前提として話を進めて行きますので、ご了承ください。

注意が必要なのは、DCSのマルチプレイで行われているATC必ずしも現実通りとは限りません。

以上の点を踏まえた上で解説をお読みください。

 

無線通話を行う上での基本

通話内容がATCであるか否かにかかわらず、無線通話には基本となるルールがあります。

 

相手のコールサインが先、自分が後

無線通話では基本的に「呼び出し先→話者→内容」と順番が決まっています。

"Ford 3-1, Chevy 1-2, Switch to 253.0"

(Ford 3-1, こちら Chevy 1-2, 周波数を253.0に切り替えろ)

 

ただしこの順序には例外があります。話す相手が既に決まっており、追加で呼び出し先や話者を伝える必要が無い場合は、コールサインを省略します。

 

例1

"Enfield 1-1, Krasnodar Tower, Contact Magic on 134.0"

(Enfield 1-1, Krasnodar Tower, 周波数134.0でMagicと接続せよ)

"Contact Magic on 134, Enfield 1-1"

(134でMagicと接続, Enfield 1-1)

 

例2

"Pontiac 3-2, Raygun BULLSEYE 123/45 12,000"

(Pontiac 3-2, ブルズアイより方位123/45マイル 12,000ftの不明機を捕捉)

"Springfield 1-1, BUDDY SPIKE F-15"

(Springfield 1-1, 味方のF-15よりレーダー照射を受けている)

 

聞き直す時は「Say again」

何かを聞き逃したり、混線によって聞き取れなかった場合などは「Say again」と言いましょう。聞き直しに「Repeat」という単語は使ってはいけません

軍用のブレビティコードに別の意味を持つRepeatがあるので、こちらと混同しないためです。

 

滑走路、誘導路、駐機場の読み方

今回は、HoggitでもおなじみAnapaのチャートを例に見ていきましょう。

このチャートからは滑走路(RWY/Runway)は 0422、誘導路(TWY/Taxiway)は A, B, C, D, E, M, N, W、駐機場は APRON 1, APRON 2, APRON EAST, FIRE STATION W があることが見て取れます。

 

滑走路

書かれている2桁の数字を「そのまま」読みます。

  • RWY 04 - ランウェイ ゼロフォー
  • RWY 22 - ランウェイ ツーツー

「ランウェイ フォー」や「ランウェイ トゥエンティツー」は厳密には誤りです。

 

誘導路

フォネティックコード(通話表)で読み上げます。

  • A - Alfa - アルファ
  • B - Bravo - ブラボー
  • C - Charlie - チャーリー
  • D - Delta - デルタ
  • E - Echo - エコー
  • M - Mike - マイク
  • N - November - ノヴェンバー
  • W - Whiskey - ウィスキー

数字が付いている場合、もちろんきっちり読み上げます。

  • W1 - ウィスキー ワン
  • E2 - エコー ツー

 

駐機場

駐機場は、マップ上で自分の位置をしっかり確認してから伝えましょう。

言い方としては「Crafter 2 Flight: 2 ship of F-16 at APRON 1…」「Currently parked at APRON EAST」のように言えば伝わります。

 

管制官が居る場合の出発手順

管制官が居る飛行場からの出発を、順を追って解説していきます。

出発機のコールサインCrafter 2-1飛行場はAnapa Towerです。

管制官が居ない場合の出発方法は後述しています)

個人的には、管制官が居る時の方が指示に従うだけで良いので楽ですし、動画ネタとしても美味しいです。

 

ちなみに、この動画の3:22頃から管制官とのやり取りを行っているので、参考程度にどうぞ。

youtu.be

 

出発① 無線チェック

エンジンを始動して無線が使えるようになった機体は、無線通信が出来ているかどうかを確認しなければなりません。

ATCで会話をする相手に繋がる周波数(Hoggitの場合は249.5がATC用)に合わせたら、無線チェックをリクエストします。

 

例1

"249.5, Crafter 2-1, Comm check"

(周波数249.5, Crafter 2-1, 無線チェック)

"Crafter 2-1, Anapa Tower, 5 by 5"

(Crafter 2-1, Anapa Tower, 感度は5/5だ)

 

例2

"249.5, Crafter 2-1, Request radio check"

(周波数249.5, Crafter 2-1, 無線チェック)

"Crafter 2-1, Anapa Tower, Got you loud and clear"

(Crafter 2-1, Anapa Tower, 感よし)

 

Static」や「Unreadable」と言われたら無線やマイクをチェックします。聞こえてないって事ですからね。「3 by 5」みたいに言われたら、マイクの音量を確認しましょう。

ちなみに「Loud and clear」の略として「LC (Lima Charlie)」というのもあります。

初めて言われた時、一瞬わからんかった…

 

出発② タキシング

駐機場から滑走路へ移動することをタキシング(または地上滑走)と呼びます。

 

"Anapa Tower, Crafter 2-1: Single ship of F-16 at APRON 1, Request taxi to RWY"

(Anapa Tower, Crafter 2-1: APRON 1に駐機中のF-16 1機だ, 滑走路へのタキシング許可求む)

"Crafter 2-1, Taxi to hold short of RWY 22 via M D"

(Crafter 2-1, Anapa Tower, 誘導路MとDを通って滑走路22手前にタキシングせよ)

"Taxi to 22 via M D, Crafter 2-1"

(滑走路22にMとDを通ってタキシング, Crafter 2-1)

しっかり復唱します。言われた事を簡単に繰り返すだけでOK。

 

何かの手前で一時停止する事を「Hold short」と言います。「Short of ~」で「~の手前」という意味。

「Hold short of ○○」と指示されたら、○○の手前で停止し、指定された場所に着いたことを必ず報告します。

 

"Anapa Tower, Crafter 2-1, Holding short of RWY 22 at D"

(Anapa Tower, Crafter 2-1, 滑走路22手前の誘導路Dでホールド中)

"Crafter 2-1, Continue hold short of 22"

(Crafter 2-1, そのまま22手前で待機せよ)

大抵はこの時点で離陸許可が下りますが、もし「Continue hold short」と言われた場合は、そのまま待機しましょう。

 

出発③ 離陸と出発

滑走路に進入して向きを合わせる事を「Line up」と言います。大抵は待機とセットになっているので「Line up and wait」と言われる場合が多いです。

滑走路への進入許可離陸許可は別々になっているので、注意します。

 

"Crafter 2-1, Line up and wait RWY 22"

(Crafter 2-1, 滑走路22にラインナップし待機せよ)

"Line up and wait RWY 22, Crafter 2-1"

(滑走路22にラインナップし待機, Crafter 2-1)

滑走路への進入許可は出ましたが、まだ離陸許可は出ていません。

 

"Crafter 2-1, Cleared for takeoff RWY 22, Wind 123@04, Climb and maintain 3,000"

(Crafter 2-1, 滑走路22の離陸を許可する, 風は方位123より4ノット, 3,000ftまで上昇し高度を維持せよ)

"Cleared for takeoff RWY 22, Climb and maintain 3,000, Crafter 2-1"

(滑走路22の離陸許可, 3,000ftまで上昇し高度維持, Crafter 2-1)

離陸許可が出ました。すみやかに離陸し、指定された高度まで上昇します。

 

"Anapa Tower, Crafter 2-1, Airborne, Altitude 3,000, Request departure to the east"

(Anapa Tower, Crafter 2-1, 離陸完了, 高度3,000ft, 東への出発許可求む)

"Crafter 2-1, Fly heading 090, Frequency change approved, Good day"

(Crafter 2-1, 方位090に旋回せよ, 周波数の変更を許可する, どうも)

"Fly heading 090, Frequency change approved, Crafter 2-1, Thank you"

(方位090へ旋回, 周波数変更許可, Crafter 2-1, どうも)

離陸完了後、出発したい方角を管制官に伝え、指示された方位に旋回を行います。

 

後は、周波数を変えてAWACSなりJTACなりにコンタクトすればOK。

 

管制官が居る場合の着陸手順

管制官が居る飛行場への着陸を、順を追って解説していきます。

到着機のコールサインCrafter 2-1飛行場はAnapa Towerです。

 

着陸① インバウンド

まずは飛行場に対し、このあと着陸を行うという事を伝えます。だいたい飛行場から20~25マイルくらいで伝えると良いでしょう。

 

"Anapa Tower, Crafter 2-1: Single F-16, Inbound from the northeast, 23 miles out"

(Anapa Tower, Crafter 2-1: 1機のF-16だ, 北東よりインバウンド, 距離23マイル)

"Crafter 2-1, Anapa Tower, Radar contact, Fly heading 254, Descend to 2,000, Expect RWY 22 visual approach"

(Crafter 2-1, Anapa Tower, レーダー上で確認した, 方位254に向けて飛行, 2,000ftまで下降せよ, 滑走路22へ有視界方式でのアプローチを行え)

"Fly heading 254, Descend to 2,000, Expect RWY 22 visual, Crafter 2-1"

(方位254に飛行, 2,000ftに下降, 滑走路22へ有視界アプローチ, Crafter 2-1)

軍用機では基本的に有視界飛行(VFR)でのアプローチが多いですが、悪天候などによって視界が確保できない場合は計器飛行(IFR)を指示される場合があります。

 

着陸② アプローチと着陸

"Crafter 2-1, Turn heading 216, Cleared for visual RWY 22"

(Crafter 2-1, 方位216に旋回せよ, 滑走路22への有視界アプローチを許可)

"Turn heading 216, Cleared for visual 22, Crafter 2-1"

(方位216に旋回, 滑走路22へアプローチ許可, Crafter 2-1)

 

Report initial」や「Report 10 miles」など言われたら、それぞれの位置で報告します。

 

例1(直線着陸)

"Crafter 2-1, Report 10 miles out"

(Crafter 2-1, 距離10マイルで報告せよ)

"10 miles established, Crafter 2-1"

(現在距離10マイル, Crafter 2-1)

"Crafter 2-1, Cleared to land RWY 22"

(Crafter 2-1, 滑走路22への着陸を許可)

 

例2(オーバーヘッドアプローチ)

"Crafter 2-1, Report initial for left-hand overhead"

(Crafter 2-1, 左側オーバーヘッドアプローチの開始地点で報告せよ)

"Crafter 2-1, On initial for left-hand overhead"

(Crafter 2-1, 左側オーバーヘッドアプローチの開始地点に着いた)

"Crafter 2-1, Cleared for overhead join"

(Crafter 2-1, オーバーヘッドアプローチを許可)

ここからは位置を逐一報告します。

"Crafter 2-1, Breaking left"

(Crafter 2-1, 左にブレイクする)

"Crafter 2-1, On downwind for RWY 22"

(Crafter 2-1, 滑走路22のダウンウィンドを飛行中)

"Crafter 2-1, Turning base"

(Crafter 2-1, ベースターンを行う)

"Crafter 2-1, On final for RWY 22"

(Crafter 2-1, 滑走路22への最終進入を開始)

"Crafter 2-1, Cleared to land RWY 22"

(Crafter 2-1, 滑走路22への着陸を許可)

 

着陸③ タキシング

駐機場へタキシングします。

 

"Crafter 2-1, Take the exit to the right and taxi to APRON 1 when able, Good day"

(Crafter 2-1, 右折可能な誘導路より滑走路を出てAPRON 1にタキシングせよ, どうも)

"Turn right and taxi to APRON 1 when able, Crafter 2-1, Thanks"

(滑走路を右に出てAPRON 1にタキシング, Crafter 2-1, どうも)

 

駐機場への道のりや駐機エリアの番号を細かく指定される場合もありますが、DCSではほとんどの場合到着後のタキシングは細かく指示されません。

 

管制官が居ない場合の出発手順

管制官が居ない飛行場からの離陸は、衝突事故が起こりやすくなってしまいます。

事故を避けるために「トラフィックコール」というものを各自で行います。

出発/到着機のコールサインCrafter 2-1他の機体は青色で示します

 

こちらの動画の6:26~7:59頃と、12:21~14:38頃にトラフィックコールを行っているシーンがあるので、参考程度に。

youtu.be

 

出発① 無線チェック

管制官の有無にかかわらず、まずは無線チェックです。

 

"249.5, Crafter 2-1, Radio check"

(周波数249.5, Crafter 2-1, 無線チェック)

"Crafter 2-1, Colt 1-1, Got you 5 by 5"

(Crafter 2-1, こちら Colt 1-1, 感度は5/5だ)

同じ周波数に居る機体が返してくれます。たまにシカトされます。

 

出発② タキシングと離陸

その飛行場にいるトラフィック(他の機体)に呼びかけるので「○○ Traffic」と呼び出します。

 

例1

"Anapa Traffic, Crafter 2-1: Single ship of Hornet at APRON 1, Taxi to RWY 04 via M A"

(Anapa航空交通, Crafter 2-1: APRON 1に駐機中のホーネットだ, 滑走路04へMとAを通ってタキシングする)

 

例2(ATISの情報に基づいてタキシングする場合)

"Anapa Traffic, Crafter 2-1: Single Hornet parked at APRON 1, Taxi to RWY 04 with information F"

(Anapa航空交通, Crafter 2-1: APRON 1に駐機中のホーネットだ, インフォメーションFに基づいて滑走路04へタキシングする)

ATIS(飛行場情報放送業務)とは、飛行場にて随時発信されている航空機向けの情報です。

A→B→C→D… と、情報が更新されるたびに次のフォネティックコードに移行します。

 

目視やマップで確認して、明らかに誰も居なければそのまま離陸しても良いでしょうが、念のため毎回滑走路手前でホールドすることをおすすめします。

 

"Anapa Traffic, Jedi 2-1, on final for RWY 04"

(Anapa航空交通, Jedi 2-1, 滑走路04への最終進入を行う)

"Anapa Traffic, Crafter 2-1, Holding short of RWY 04 at A"

(Anapa航空交通, Crafter 2-1, 滑走路04手前の誘導路Aでホールド中)

先に離陸する機やファイナルに入っている到着機などが居れば、ホールドして待ちましょう。

 

"Anapa Traffic, Jedi 2-1, Cleared the active"

(Anapa航空交通, Jedi 2-1, 滑走路を抜けた)

"Anapa Traffic, Crafter 2-1, Lining up on RWY 04"

(Anapa航空交通, Crafter 2-1, 滑走路04にラインナップする)

"Anapa Traffic, Crafter 2-1, Taking off RWY 04"

(Anapa航空交通, Crafter 2-1, 滑走路04より離陸する)

すぐに離陸する場合は、ラインナップの報告なしで離陸報告だけしてそのまま離陸しても大丈夫です。

 

出発③ 離陸完了後

離陸完了後は、出発する方角と、周波数を切り替える旨を伝えます。

 

"Anapa Traffic, Crafter 2-1, Airborne, Departing northeast, Push 253"

(Anapa航空交通, Crafter 2-1, 離陸完了, 北東へ出発する, 周波数を253に切り替える)

 

管制官が居ない場合の着陸手順

着陸時もトラフィックコールをしっかり行います。

出発/到着機のコールサインCrafter 2-1他の機体は青色で示します

 

着陸① インバウンド

管制官が居る場合と同じように、インバウンドを伝えます。

 

"Anapa Traffic, Crafter 2-1: Single ship of F/A-18, Inbound from the east, 20 miles out"

(Anapa航空交通, Crafter 2-1: 1機のF/A-18だ, 東よりインバウンドする, 距離20マイル)

 

着陸② アプローチ

他に出発機や到着機が居なければこのままイニシャルまで特に言う事はありませんが、他のトラフィックコールが聞こえたら、こちらも必要に応じて報告してあげます。

 

"Anapa Traffic, Uzi 1-5, Taxiing to RWY 04 with information H"

(Anapa航空交通, Uzi 1-5, インフォメーションHに基づき滑走路04へタキシングする)

"Anapa Traffic, Crafter 2-1 is 10 miles out from RWY 04 arrival"

(Anapa航空交通, Crafter 2-1 は現在滑走路04より10マイルの位置を飛行中)

"Anapa Traffic, Uzi 1-5, Holding short of RWY 04 at A"

(Anapa航空交通, Uzi 1-5, 滑走路04手前のAでホールド中)

よほど変な奴でもなければ、滑走路が空くまで待ってくれます。

 

着陸③ 着陸とタキシング

オーバーヘッドアプローチでも直線でも、ファイナルは必ず報告しましょう。

 

"Anapa Traffic, Crafter 2-1, On final for RWY 04"

(Anapa航空交通, Crafter 2-1, 滑走路04への最終進入を開始)

 

着陸したら滑走路を出て、滑走路を出た事を伝えましょう。

 

"Anapa Traffic, Crafter 2-1, Runway vacated"

(Anapa航空交通, Crafter 2-1, 滑走路を空けた)

 

「滑走路を出た」の言い方はいくつかあり、「Cleared the active」「Runway vacated」「Runway is clear」あたりがよく使われています。

 

最後に

色々解説しましたが、DCSにおけるATCを学びたいのならば、やはりDCSにSRSをインストールしてマルチサーバーに飛び込むのが一番ですね。実際、私自身も元々は見よう見まねで覚えました…

個人的なおすすめ鯖はHoggitです。あのサーバーであれば、その場にいるプレイヤーに聞けば教えてもらえる場合が多いです。

 

この記事がDCSのSRSユーザー人口拡大につながれば幸いです。

 

よろしければYouTubeの方もご覧ください。

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