【DCS World】BVRでの空戦における「戦い方」と「考え方」
ご無沙汰しております、チビすけです。
今回の記事ではDCSを使って、現代のBVR空戦において「何を考えて、どういう戦い方をするか」という部分について解説していきます。
一口に「BVR」「空戦」と言っても、何を目的とした戦闘なのかによって戦法を変えなければなりません。どういう状況でどういう動きをするか、現代の空戦に於ける趨勢はここにかかっていると言っても過言ではありません。
戦況を有利に動かすために、あるいは作戦を成功させるために、もしくは敵を食い止めるためにはどういう動きをすれば良いのか。今回は、その考え方について紐解いていきたいと思います。

はじめに・前置き
本記事は、DCS Worldというゲーム上での空戦を解説したものです。
フライトシミュレーターというジャンルの特性上、現実における戦闘や実際の航空業界における運用等に当てはまる内容が含まれている場合があります。また、当ブログでは「分かりやすさ」を重視するため、一部表現を崩して簡略化している部分が多々ございます。
現実世界における軍事組織ないし準軍事組織が発行している資料を一部引用していますが、本記事はあくまで「ゲームで上手く立ち回るための情報」として執筆しておりますので、現実での出来事とは一切関係なく、また実際の航空業界・軍事組織に向けた情報ではございません。何卒ご了承くださいませ。
本記事では、自軍・敵軍ともにBVR能力のある機体が、ARH(FOX 3)タイプのミサイルを撃ち合う想定で解説します。
BVRとWVR
2024年2月2日に公開した記事でも説明しましたが、現代の空戦は大きく分けて2段階のフェーズがあります。お互いに見えない距離から長射程の空対空ミサイル(AAM)を撃ち合うBVR (Beyond Visual Range) と、お互いに見える距離で直接撃ち合うWVR (Within Visual Range) です。
現代における空戦の大部分が、前者のBVRという領域で発生します。DCSにおいても、第4~4.5世代機(F-15, F-16, F/A-18, JF-17, Su-27等)同士の空戦はBVRから始まります。
現代の空戦における考え方としては「WVRは可能な限り避けるべき」という認識である程度一致しています。
その理由は、WVRではお互いにミサイルの不可避射程内で戦う事になるため、双方の勝算が50/50に近づいていき、お互いに有利な状況を構築するための余裕が無くなっていってしまうというものになります。結果として、どこの空軍も遠くからミサイルを投げ合っているというのが現状です。
当たり前のことですが、言ってしまえば誰一人として「相手と対等な状況」に自ら突っ込んで行きたくないわけで、常時自分側が一方的に有利な状態にしておきたいです。
BVRにおいては、より素早く、より遠くまでミサイルを飛ばせるほど有利になります。各国がより遠くまで飛ぶ空対空ミサイルを研究開発している理由が、まさしくこれです。
「なるべく遠くからミサイルを一方的に撃ち込んで、敵との距離は出来るだけ離しておきたい」という考え方を、まずは念頭に置いてください。
SKATEとBANZAI

BVRでのタクティクス(戦法)には、2つの種類があります。SKATE(スケート)とBANZAI(バンザイ)です。
分かりやすく言えば、「撃った後に必ず離脱する」のがSKATEで、「可能な限り距離を詰めて確実に墜としに行く」のがBANZAIです。
BVRにおいてまず考えるべきことは「戦況をどういう状態に持って行きたいのか」です。現状の戦線を維持したいのか?戦線を押し上げたいのか?味方が前進するための活路を開きたいのか?味方が後退するための時間を稼ぎたいのか?
戦況をどう動かしたいのかを決め、それに基づいてどう動くかを考えます。そして、その目標を達成するためにはSKATEとBANZAI、どちらの動きを取るべきかを決定します。
SKATE
SKATEは、いわゆるヒット&アウェイです。ミサイルを撃って、終末誘導(A-POLE, HUSKY/PITBULL)に移行したら、敵に背を向けて一度離脱(OUT)します。弾着予想時刻(F-POLE, TIMEOUT)を過ぎても敵にミサイルが当たっていない、かつ十分に距離が離れている場合、もう一度敵に向けて旋回(IN)し再び交戦します。
これは Launch & Leave(ローンチ・アンド・リーヴ)と呼ばれる戦法になります。SKATEは、より保守的に、より生存を重視した戦い方です。戦線を維持する際や、数的に不利な場合などに選定される事が多いです。
通常「SKATE」あるいは「LONG SKATE」というと、DOR(Desired Out Range)までにOUTする事を指します。DORまでに離脱できれば、ミサイルが外れて敵機がそのまま接近してきたとしても、もう一度INしてSKATEを実行する事が可能です。
通常のSKATEよりも近い距離で撃ち、直接的な再進入(RECOMMIT)を想定せずに敵の不可避射程を割らないギリギリで離脱する際は SHORT SKATE といいます。SHORT SKATE では、予め決められたMAR(Minimum Abort Range)までにOUTします。敵のミサイルが真後ろから発射されても自機に到達できる射程のことを Stern WEZ(Stern Weapons Engagement Zone)といい、MARはこれを基準に設定されることが一般的です。相手の方が有利な状況で Stern WEZ を割るのは、すなわち確実な敗北を意味します。
双方がSKATE戦法を取った空戦の場合、互いにミサイルがずっと命中しない状況も起こりえます。このケースでは、双方が近づくことなくミサイルを投げ合い、空域を押しあうような感じになります。
飛んでくるミサイルに対して背を向けて、安全な距離を確保するためにOUTしないといけないので、タイミングがズレると背中からどんどん撃ち込まれて、INするための距離と時間を稼げなくなってしまいます。一度背後から距離を詰められてしまうと、INしようとして旋回している間に敵のミサイルの不可避射程(MARやStern WEZ)を割ってしまう危険性があります。ここで敵の方に旋回したとしても、敵の方が先にミサイルを撃てるため確実に仕留められてしまいます。
こうなってしまった場合、敵に背を向けて逃げ続けるしかありません。この時点で空戦としては負けです。こうならないために、諸元を守りタイムラインをしっかり管理する事が大切になります。
BANZAI
BANZAIは、極力OUTせずに距離を詰め、確実にミサイルを命中させに行く戦法です。玉砕覚悟で突撃する戦法ではありません。「極力OUTせずに」とは言いましたが、不利だと判断されればOUTすることもあります。BANZAIは可能な限り距離を詰める戦法ですので、戦線を押し上げたり、活路を一気に切り開く際などに有効な戦法です。これを Launch & Decide(ローンチ・アンド・ディサイド)といいます。
BANZAIでは、クランクやノッチング等を利用して、敵のミサイルを上手く回避しつつ距離を詰めていき、敵機にミサイルが当たらなければ最終的にMERGEして撃墜しに行くことがあります。
BANZAIを行う上で重要になってくるのがDR(Decision Range)です。これは「INを継続して更に詰めるかOUTして中断するかを、ここまでに決意する」という距離です。通常、DRはMARの外側に設置されます。
射撃しPITBULL/HUSKYになった後、DRの手前でNOTCHやCRANKをしつつ15秒ほど様子をみます。DR手前で敵のレーダー波(NAILSやSPIKE)が消え、有利と判断し距離を詰められる場合は「Winning」と宣言し突っ込みます。逆にDRを割っても不利な状況にあると判断された場合は「Losing」と宣言しOUTします。
先述の通り、不利な状況にもかかわらず敵の Stern WEZ を割ってしまうと、そのまま敵にやられてしまいます。突っ込んでいいのは有利なとき、すなわちWinningの場合に限られます。
また、当然ですが数的不利な状況でBANZAIをかけたところで、結局やられてしまいます。BANZAIを使うのは、数的不利が無く確実に墜としに行ける場合のみに限るのが良いでしょう。
GRINDとWALL
BVRでの空戦を制するためには、適切なフォーメーションを形成する事が大切です。フォーメーションの方針は大きく分けて2種類あり、GRIND(グラインド)もしくはGRINDER(グラインダー)と、WALL(ウォール)があります。
FLは通常、撃ち合いが始まる前にどちらの陣形で戦うかを宣言します。GRINDとWALL、どちらの陣形で戦うかを宣言することで、WMやELに今後の方針が伝わりますし、素早く適切な位置へ移動する事が可能になります。
逆に戦闘方針がGRINDなのかWALLなのかがフライト内で共有されていないと、フライトのメンバーはどう動けば良いのかいつまで経っても分からず、適切なフォーメーションの形成ができなくなります。
GRIND

GRINDでは、2機編隊の場合は1機/1機で、4機編隊の場合は2機/2機で分割して、その場で楕円状にグルグルと回りつつ、片方が片方を常にカバーし続けるという陣形です。2段撃ちの体勢をその場で回している、と言えば分かりやすいでしょうか。
片方がOUTしている間はもう片方がINしているというフォーメーションになります。この特徴によって強固な防衛線を設置する事ができ、戦線を維持したりその場に留まって継続的な警戒を実施する事ができます。
また攻撃の速度(いわゆる手数)で見た時にも、全機が同時に同じ方向を向いている場合と比べて倍になります。
数的不利な場合や、現状を固く維持したい場合などに最適な陣形となります。

GRINDを形成するには、まずはじめにFL/WM間、あるいはエレメント間で前後間隔を空ける必要があります。
GRIND形成のために用いられる最も一般的な機動はPUMP(パンプ or ポンプ)です。初手で後方に着く機体もしくはエレメントが、その場で左右どちらかにグルッと一周(SPIN)します。時と場合にもよりますが、大抵15~20nmくらいの前後間隔をとるのが一般的です。
"Hornet 5-1, COMMIT, SINGLE GROUP, GRIND, SKATE, REFERENCE 300"
"3, 4, PUMP right, go Trail 15nm, now"
"3"
"4"
GRINDでは、最初に基準となる方位(REFERENCE)を決めます。例えば REFERENCE 300 であれば、敵方(IN HDG / HOT)が方位300°、離脱方向(OUT HDG / COLD)が方位120°となります。
WALL

WALLは文字通り、フライトの全機で壁を形成する陣形です。2段撃ちの体勢を取るGRINDと違い、WALLでは全機が同時に敵方を向きます。
WALLはそのフライトが持ち得る火力を一極集中して敵に向けるため、上手くいけば短時間で敵機を殲滅する事ができます。この特性上、戦線をその場で維持するGRINDと異なり、WALLは戦線を押し上げる目的で使われる事が多いです。

WALLでは Line-Abreast や Fluid-Four など、横に大きく広がったフォーメーションを使用します。また、レーダー操作・維持の容易さ・火力を良い感じに混ぜ合わせた Viper-Four というフォーメーションも存在します。


WALLのフォーメーション形成には、BRACKET(ブラケット)という機動を使用します。
まず REFERENCE HDG を決め、機体ごとあるいはエレメントごとに、左右別々の方向に同じ角度開くように旋回します。そしてFLの指示で元のHDGに戻ります。こうすることで、左右間隔を大きくとって Line-Abreast のようなフォーメーションに移行する事が出来ます。
"Rambo 1, COMMIT, WEST GROUP, WALL, BANZAI, REFERENCE 200"
"2, Go BRACKET 30, now"
"2"
"1, HDG 230"
"2, HDG 170"
"Flight, reverse, now"

これは厳密にはWALLに限った話ではありませんが、WALLの場合は特にSORT(ソート)が重要になってきます。SORTとは、誰がどの目標を狙って撃つかです。
例えば、自軍にも敵軍にも戦闘機が4機ずつ居たとしましょう。上の図と同じような状況ですね。自軍フライトは4機いるのに、全員が同じ目標を狙った所で何の意味もありません。これではWALLを組んだ意味がなくなります。火力を最大限に活かすためには、全員が異なる目標を狙う(SORTする)必要があります。
SORTの優先順位には標語があります。Lead takes Lead, Left, Low です。FLから順番に、近い順→左側順→低い順にSORTを行います。これも状況によって変わってくる部分ではありますが、FLは基本的にこの順番でSORT指示を出すのが良いとされています。
SORTが完了した機体からSORTED(ソーテッド)と報告します。
"2, SORT, TRAILER, LEAD GROUP. 3, SORT, LEADER, TRAIL GROUP. 4, SORT, TRAILER, TRAIL GROUP."
"2, SORTED"
"3, SORTED"
"4, SORTED"
場合によってはSORTする対象を変えたり、編隊内の位置を入れ替えたりする必要性が出るため、SORTは早ければ早いほど良いです。
基準となる値を設定してタイムラインを組む
BVRの空戦においては、時間の管理が重要です。時間の余裕が多ければ多いほど、BVRでの勝率は上がります。そして先手を打てれば打てるほど、時間の余裕が生まれます。
時間の余裕を生み出すためには、予め決められる事は早い段階で決めておく、というのが重要です。空戦においては「えーっと…どうしようかな…」となっている時間が多いほど負けます。
素早く判断し行動するために、ある程度諸元を決めておくことが一般的です。当然、高度や速度などの条件によって諸元は変動するため、戦闘中は常に諸元に若干の修正を加えつつ考える必要があります。
空戦において相手に取ってほしくない、最悪の行動とは何でしょうか。そうです、回避機動を取らずに真っすぐ突っ込んでくることです。ここに、更にミサイルが当たらなかったりしたら、更に最悪です。
諸元の計算は、多少の余裕を持たせるために「双方が一定の速度を保ちつつ常にHOTで一直線に突っ込んでくる」という想定で行います。
Stern WEZ

Stern WEZ(スターン・ウェズ)とは、ミサイルが真後ろから発射された場合でも、ミサイルが目標に追い付ける射程です。後ろを向いて離脱したとしてもミサイルに追い付かれるため、この距離を割ってしまうと、ノッチングやカウンターメジャーを使用せずに回避する事は不可能になります。
この射程は、BVRにおいては基本的に絶対割りたくない距離です。対等もしくは不利な状態で Stern WEZ を越えて接近してしまうと、仮に敵機を撃墜できたとして自分も確実に撃墜されると考えて頂いて大丈夫です。
MAR - Minimum Abort Range
MARとは、ここまでに離脱すればギリギリ回避できる射程です。
通常、上記の Stern WEZ を基準に、離脱するために旋回するスペース(いわゆるマージン)を加えた距離がMARとされます。ここを越えると Stern WEZ を割る危険性があるため、一般的な戦闘ではMARまでにはOUTします。
先述の SHORT SKATE は、MARを基準に行われます。
DOR - Desired Out Range
DORとは、ここまでに離脱すれば安全に回避を終えてもう一度敵に頭を向けられる距離です。先述のSKATEはDORを基準に行われます。
A-POLE / F-POLE

A-POLE(エー・ポール)は、ARH(FOX 3)ミサイルのシーカーがアクティブ(HUSKY / PITBULL)になった時点での自機と敵機の距離です。A-POLEは、DORの算出などの基準として使う事ができます。
F-POLE(エフ・ポール)とは、ミサイルが敵に命中する時点での自機と敵機の距離です。相手の方がよりF-POLEの長いミサイルを持っている場合、基本的に自分は不利となります。
A-POLEもF-POLEも、高度や距離などによって常に値が変化します。
DR - Decision Range
DRとは、BANZAIタクティクスにおいて、ここまでに突っ込むか離脱するかを決めるという距離です。
上記で解説した通り、BANZAIでは有利と判断された際には距離を詰めて確実に撃墜を狙いに行きます。MARや Stern WEZ を割る場合には必ず有利である必要があるため、有利であるかどうかを見極める時間が必要となります。また、不利であり離脱するという判断を下し、実際にOUTするまでのマージンも必要となります。
有利であるか不利であるかをここまでに判断し、更に突っ込むかどうかを決める基準となるのが、このDRになります。
具体的には、PITBULL/HUSKYとなった後、15秒間クランクを継続するかノッチングするかをし、RWRを確認します。DRまでにNAILSやSPIKEなど、敵のレーダー波が来ている(=敵がこちらに向かって来ている)場合はLosing(不利)と判断しOUTします。逆に敵のレーダー波が一切来ていないNAKEDやEMPTYの場合(=敵はこちらに頭を向けられない)であればWinning(有利)と判断しWVR領域での戦闘を開始します。
DCS内で実際に実験して諸元を取ってみる
DCS内で、AIM-120CのA-POLE、F-POLE、そして Stern WEZ がどれくらいの距離になるのか、実際に撃って試してみました。2026年1月現在、DCSのバージョンは2.9.23.18431です。
高度30,000ft、速度マッハ1.0、自機はF-15E、敵機はSu-27、この条件で実験をしてみましょう。最終的にTacviewでデータを再生して、正確な値を見てみます。
A-POLE と F-POLE の実験
A-POLE / F-POLE は先述の通り、お互いにヘッドオンで飛行し続けます。この実験では30nmで射撃し、クランクやスライスバックなどの回避機動は一切行いません。

A-POLEは、ほぼピッタリ20nmでした。
このまま真っすぐ飛び続けて、次にF-POLEを見てみましょう。

F-POLEは、12.2nmでした。
Stern WEZ の実験
続いて、Stern WEZ を割り出してみましょう。
今回は、30,000ftで、両者とも同じ方向にマッハ1.0で飛行し続けます。それ以外の条件は、先ほどの実験と同じです。
この実験では、12nm後方から離脱する敵に向けてAIM-120Cを撃ちます。

まず適当に12.4nmで撃ったところ、ギリギリ届きませんでしたが、一発で正確な値が出ました。母機から11.35nm離れたところで、AMRAAMの滑空速度が敵機の飛行速度を下回りました。
よって、この条件下でのAMRAAMの Stern WEZ は11.35nmとなります。
せっかくなので、試しに11.35nmを下回る距離から射撃してみましょう。

11nmで射撃しましたが、当然命中しました。
実験結果
実験の結果、DCSのAIM-120Cでは、30,000ft, M1.0の環境下で、以下のような諸元が取れました。
- 30nm A-POLE: 20.0nm
- 30nm F-POLE: 12.2nm
- Stern WEZ: 11.35nm
これだけ情報が分かれば、A-POLEを基準にDORを、F-POLEや Stern WEZ を基準にMARやDRを設定する事ができます。
とは言っても、DCSのAMRAAMは正確に再現できているかどうかと言われると微妙です。多分実際のAMRAAMよりも相当性能が低く設定されていると思われます。
あくまでゲーム内での性能諸元として参考にしてください。
おわりに
今回は、現代における空戦では何を考えて、どのように戦うかを解説しました。
DCSプレイヤーの皆様にとって、空戦を理解するための参考になれば幸いです。
それでは、バーチャルの空でお会いしましょう👋
よろしければYouTubeの方も観てください!
【DCS World】マルチプレイにおけるフライトリードの心得
ご無沙汰しております、チビすけです。
DCS最大の魅力の一つと言えば、なんと言ってもマルチプレイです。そしてマルチプレイと言えばそう、Coopミッションですね!
「Coopに参加したいけど、フライトリード(F/L)を執るのはちょっと不安…」という人がたくさん居るかと思います。というわけで今回は、F/Lをやる際に役立つかもしれない情報を書きまとめようと思います。

はじめに
とか何とか偉そうなこと言ってますが、私も完璧にF/Lを執れるわけではありません。この記事はあくまで「チビすけが現時点までで知っている事・思った事・感じた事・意識している事」をメモした程度のものですので、100%正しいわけではありません。どうぞ参考になりそうな部分だけを汲み取ってください。
また、これらの情報はあくまで「DCS World」というゲーム向けのテクニックを解説したものであり、実機の戦術や技能とは一切関係ありませんので、ご了承ください。
フライトリードってなんぞや
フライトリード(F/L)とは、編隊(フライト)をまとめる長機のことです。NATO系の空軍では通常「フライト」は4機で構成されることが多く、4機の場合2つの「エレメント」を内包しています。

エレメントとは編隊の最小単位で、2機で1エレメントです。エレメントはリード+ウィングマン(W/M)で構成されています。エレメントの長機はエレメントリード(E/L)といい、通常は3番機が務めます。つまり、F/LとE/LがそれぞれW/Mを従えているという構図になります。
この4機のうち、代表として4機全員を取りまとめるのがF/Lであり、フライト全体としての指揮権を持つことになります。
場合によってはミッションコマンダー(M/C)やパッケージリード(P/L、24年版ACCでは T/L: Team Lead と言うらしい)を兼任している場合もありますが、今回は単純にF/Lだけに焦点を当てていきます。
フライトリードって何するんですか
上述の通り、F/Lはフライト全体の指揮を執ります。例えばフォーメーションの指示を出したり、使用する戦術の指定をしたり、フライト各機の状況を確認して報告したり、誰がどの目標を攻撃するのかを指示したり…と言った感じでしょうか。

F/Lの仕事の中でも特に重要なのは、ATCやC2などの統制側とのやり取りです。原則TAC C2やJTAC等へのCHECK-INはF/Lがまとめて行いますし、Roll CallなどもF/Lが代表して行います。飛行場への着陸時、4機まとめてオーバーヘッドアプローチパターンで降ろす場合などはF/Lがまとめて管制とやり取りをします。要撃統制下などではF/LだけがTAC C2とやり取りをする訳ではなく、E/LとW/Mも必要な情報をC2にリクエストします。
ちなみに、フライトは必ずしも全員が密集しているとは限りません。W/Mは必ず各リードに付随しています。遂行する作戦の内容にもよりますが、エレメントが別々に分かれて違う事をしている、なんて事もあったりします。
よきフライトリードであるために
F/Lがとても上手な、とある方が言っていました。「よきF/Lであるためには、まずはよきW/Mになれ。よきW/Mであるためには、よきF/Lたれ」と。また別の方はこう言いました。「W/Mとして飛んだ際のブチギレ要素を全て克服したら完璧なF/Lになれる」と。
W/Mを思いやる
F/Lに必要なものは、W/Mの立場に立って考える力です。正直これが徹底されていれば後述のほぼ全ての事はスムーズに進みます。
「速度は速すぎないかな」「バンク角はキツすぎないかな」「W/Mは今こういう状況だろうから、この情報を共有しよう」こんな感じの、W/Mを思いやる心が大事です。基本的に、W/Mに無理をさせないようにしましょう。
例えば:
- スロットルはBUSTERまで上げずに、前後位置を調節する余力をW/Mに与える
- HDGやReferenceを10度刻みで伝える
- 現在の速度を伝える
- BLINDの場合、「2 o'clock, High」のようにW/Mから見た自分の時方位を伝える
こんな風に、W/Mが無理をしなくて済む程度の余裕を持たせておくと良いですね。
動く時は報告する
旋回する時は必ず、タイミングが分かるようにしっかり報告を入れましょう。特にクローズアップフォーメーションで飛んでいる際は空中衝突の危険性があるため、いかなる時でも徹底しましょう。
"Flight, CHECK right, Ready, Now"
"2, PUMP left, Go trail 15nm, Now"
また、今後急激に動くような状況が想定される場合は、それを見越して予めFighting WingやTrailなど、追随しやすい位置にW/Mを移動させておく事も重要です。
W/Mに指示を出しすぎない
これは特に編隊を率いて空戦をする時などが該当するのですが、W/Mに指示を出しすぎるのも良くありません。例えば、以下のような指示はどうでしょうか。
"2, TARGET Leader Single GROUP BULLSEYE 250/40 30,000 and Middle Trailer BULLSEYE 250/25 25,000, Shoot range 30nm, Crank left 60 degree, Beam north after, OUT when losing"
W/Mとしては、こんな指示がF/Lから飛んで来たら「は?」としか言いようがありません。詳細な情報を共有するというのは確かに良いかもしれませんが、空戦は1秒のタイムロスが命取りになる世界です。そんな最中無駄に長ったらしい指示が飛んで来たらブチギレ案件です。
この指示は明らかに「細かく指示しすぎ」です。まず、訓練をしているW/Mならば前提として「何をするか分かって」います。加えて指示が長くなればなるほど、指示された側は理解が追いつかなくなります。もっと指示内容を簡略化する事ができます。
"Flight, BANZAI, Single GROUP"
予めこう宣言しておくことで、W/Mは「隙を見つけて突っ込むんだな」と理解できます。もしW/MがOUTしたならばそれはLosingという事なので「何かしらの脅威によって敵との距離が詰められない状況にある」と分かります。
"2, TARGET Leader and Middle Trailer"
TARGETやSORTの指示は正直これだけでいいです。W/Mを信頼して判断を委ねる事も大切で、Shoot RangeなどはW/Mから聞かれれば答えれば良いです。最悪「脅威度の高い目標を撃て」の一言でも解決する問題だったりします。
少々辛辣な事を言いますが、「自身の判断で交戦せよ」と指示を出しても「どうすればいいか分かりません!」となっているW/Mは単純に練度不足です。練習しましょう。
現在の状況に合ったフォーメーションを選定する
どういったフォーメーションで飛ぶのかを判断するのもF/Lの仕事です。
例えば、4機の敵がLine-Abreastで突っ込んで来ているのにずっとFinger-Fourで密集して飛んでいても意味がありませんし、対地攻撃をするのに10nm間隔のLine-Abreastで飛んでいたって意味がないです。
現況どういった戦術が有効で、誰をどう動かしてどういう配置にしたいのか、というのを念頭に置いておくと良いです。
必要な資料を提供する
これは実際に飛ぶ前の段階になりますが、空中での円滑な意思疎通を図るために、F/Lはブリーフィングの時点で共有できる情報は可能な限り全て共有すべきです。
例えば「どういう方針で戦闘するのか」「こういう場合はどう動くのか」「基本とする諸元」などを、予めまとめてフライト全体に共有すると良いです。



私はCoopをそこそこガチでやりたいので毎回色んな資料を作っていますが、全員が全員ここまでやるべきとは思っていません。最低限「LONG SKATEと言ったら40nmで撃つ」とか「この条件が揃ったらABORTをコールして攻撃を中止する」くらいの取り決めはあった方が良いと考えます。
また、ミッションデータカード(MDC)を書くのも本来F/Lの仕事ですので、書いて配っておくと良いかも知れませんね。

決めた事はズバッと言い切る
もし、あなたのF/Lが「こうします!あっ、やっぱりこうします」「こっちの方がいいかな?どうしょう」となっていたらどう思います?「こいつ大丈夫か?」ってなりますよね。(私もまだこれ完璧にできません)
なので、迷った時は一呼吸おいてから「こうします」と言い切ってください。その判断が正しいかどうかは、いずれ分かります。もし頓珍漢な事を言っていたら、W/MやE/Lからツッコミが飛んで来ます。(私もよくツッコまれます)
緊迫した状況で黙らない
人間という生き物は、焦っている時に情報がたくさん飛んでくると、処理が追いつかなくなって黙ります。W/MやE/LがF/Lに声をかけているのに、応答がなかったらどうでしょう。終わりです。こうなると、連携もへったくれもありません。脳が処理しきれなくなったら、今必要でない情報は一旦投げ捨ててください。後でもう一度聞けばいいです。(私もまだこれ完璧に(ry
逆に、W/MやE/Lも同じ状況に陥る事がありますので、F/Lはそういった時に応答があるまで声をかけてあげてください。
僚機の生存を最優先する
某海軍の映画でも言われていましたが、僚機は絶対に見捨ててはなりません。
例えば2vs2で空戦している時にW/Mが追い込まれたとします。そういう場合、まずは何にしてもW/Mの救出が急務です。W/MにLEANしている敵機をSPLASHしたならば、その時点で2vs1となり数的有利の完成です。
W/Mが1vs1でMERGEしているならば、そこに突っ込んで2vs1で仕留めてください。こういったFURBALLの状況では、敵味方が入り乱れているため、敵もむやみに長距離からミサイルを撃つことはできません。片方を仕留められたなら、Stagger BackやWEZ In-Depthなど、残りの敵機に対処する方法はたくさんあります。
SAMに対処している時なども、SINGERが鳴ってW/MだけOUT、F/Lが単独で突っ込んで行く、みたいな状況は良くありません。1機ずつ喰われておしまいです。
僚機との連携を常に意識してみてください。
おわりに
今回はフライトリードの心得について色々書かせていただきました。
私も特段F/Lが上手な訳ではなく、先述の通り「とりあえず知っている事」を書きまとめた記事でした。何かの参考程度になれば幸いです。
私もF/Lとしてはまだまだ至らぬ身ではありますが、日々練習してより良いF/Lを目指していきたいと思います。
ではまた、バーチャルの空でお会いしましょう👋
よろしければYouTubeの方も観てください!
DCSのフリーズとコマ落ちを解消する方法
超超お久しぶりです。チビすけです。
現在2025年6月。ここ数か月の間、アップデートを重ねるごとにDCSがよくフリーズするようになりました。
半年前に組んだばかりのPCですしスペック不足とも考えづらく、ずっと謎だったDCSのフリーズ…ついに解消方法を見つけました。同じ現象に悩まされている人が他にも居そう…というか何人か見かけたので絶対いるはず。
ということで、ここで共有させてもらいます。
プレイ環境
Windows 10 Enterprise
Intel Core i7-14700KF
NVIDIA RTX 4070 Ti
DDR5-5600 64GB
Kingston NV3 M.2 SSD 1,000GB
Thermaltake GF A3 850W (80+ GOLD)
フリーズしている時の状況
5分に1回くらいの頻度で、数秒間(ひどい時は10秒間くらい)画面が固まる。場合によってはフリーズしている間、SRSの音声もプツプツ切れる。マルチプレイ・シングルプレイ関係なしに、全く同じフリーズが起こる。場合によってはクラッシュする。

正直言って、これではまともに戦闘飛行ができません。ドッグファイト中に何度フリーズで敵を見失ったことか…。

フリーズしている時、GPUの使用率がいきなり0%まで急落している…という事でNVIDIAのグラフィックスドライバーを、現状「安定版」と言われている566.36までロールバックしてみました。
駄目でした。
その他にも、DCSのゲーム内グラフィック設定とかWindows側のパフォーマンス設定とか色々いじってみましたが、効果なし。
フリーズを解消した手法
とある元デバッガーの知り合いに「アーマードコアVIがフリーズする場合はこれで解消するっぽいから、DCSでもやってみろ」と言われた手段を試しました。
…マジか!フリーズしなくなった!
その後、同じ内容の記事をHoggitにて発見。
https://www.reddit.com/r/hoggit/comments/179c8ol/peculiar_performance_tip_change_cpu_affinity_for/
何をしたのかというと、CPUのアフィニティを変更しました。要は「DCSがどのCPUスレッドを使うのか」を手動で割り当てし直しました。
DCSの場合「CPU 0」を使ってしまうとプレイ環境によっては動作が不安定になる事があるっぽいです。「CPU 0」はシステムのソフトウェアが常駐しているスレッドらしく、ここにリソースをバカ食いするDCSが割り込もうとすると、どうやら動作がおかしくなるらしい。
フリーズ解消の設定方法
①DCSを起動します。
↓
②DCSが起動した状態でタスクマネージャーを開きます。
↓
③「詳細」タブから「DCS.exe」を見つけたら、右クリックし「関係の設定」をクリックします。

↓
④「CPU 0」だけチェックを外し、OKをクリックします。

↓
⑤詳細タブから「DCS.exe」をもう一度右クリックし「優先度の設定」→「高」をクリックします。

↓
⑥確認が入るので「優先度の変更」をクリックします。

ご安心ください。優先度「リアルタイム」以外では基本的にシステムが不安定になる事はありません。逆に「リアルタイム」にシステム以外のソフトウェアが割り込むとPCの動作がおかしくなるので、特別な理由がない限りは選択しないでください。
↓
⑦以上。あとはプレイするだけ。
①~⑥までの設定はDCSを起動するたびにリセットされるので、DCSを起動したら毎回ちゃんと設定してください。一応、バッチファイルとか書いてそこから起動すれば設定不要で起動できる…のですが、CPUアフィニティ関連の記述はバチクソ面倒なので、私は毎回タスクマネージャーのUIから設定しています。
最後に
フリーズ以外にも、視点移動の際にカクカクとコマ落ちしたり、DCSそのものの動作が重かったり、頻繁にクラッシュしたりするなら、上述の「CPU 0」を除外すると動作が改善する場合があるようです。
それでは、快適な空の旅を👋
DCSで学ぶ、現代における空戦の基本(BVR)
こんにちは、チビです。
突然ですが、ゲーム・映画・漫画などで「戦闘機同士の空戦」を目にしたことって、男の子なら誰しも一度くらいはきっとありますよね。そんな「空戦」、どんなイメージですか?

「後ろを取られた!」「なんて機動性だ!」みたいな台詞を叫びながら、至近距離でドッグファイト…的なイメージを持っている方が多いかと思います。
ごめんなさい。実はそれ、かなり間違った先入観です。
いや、完全に間違っているわけではありません。昔の空戦は大体それで合っているんですが、現代の戦闘機(具体的には第3~4世代以降)はそうではありません。
DCSで「なかなか空戦が上手くできないなぁ」と感じている方も、現代の空戦における認識がそもそも間違っているかもしれません。
分かりやすさ重視で書いているつもりですが、今回は内容が内容ですので、かなり複雑な解説になってしまっています。お時間のある時にお読みください。
そもそも現代の空戦って、どういう風に戦ってるの?
現代の軍用機は、軒並み強力なレーダーや長射程のミサイルを装備しています。これが意味するのは「肉眼では見えないほど遠い距離から、既に戦闘が始まる」ということです。
それこそ二次大戦以前では、空戦は目視で敵機を確認するのが当たり前でした。しかし今日における空戦ではむしろ、目視確認の方が珍しいです。
現代における空戦というものは、大きく分けて3つの段階があります。
- 電子戦(EW - Electronic Warfare)
- 視程外戦闘(BVR - Beyond Visual Range)
- 視程内戦闘(WVR - Within Visual Range)
EW→BVR→WVRという風に、距離が近づくにつれて戦闘の形態が変化します。厳密には戦闘の順序はこの通りとは限らないのですが、このブログは「分かりやすさ重視」を目指しているので、誰でも理解しやすいようある程度崩して解説します。
今回は①と②を詳しく見ていきましょう。③は別の記事で解説しようと思います。
電子戦
空戦でまず初めに行われる電子戦は、線引きが非常に曖昧かつ多種多様な方法で行われる戦闘です。
ECMを使って相手の早期警戒レーダーや戦闘機のレーダーをかく乱する、ステルス技術を用いて相手の防空網をかいくぐる、相手の通信網をジャミングして連絡を麻痺させる、衛星を用いて相手の戦力を把握・またはそれを阻止する、等々…
殺傷能力のある戦闘機同士がぶつかり合う前段階の戦闘であることが多く、対レーダーミサイルで相手の地対空ミサイル(SAM)を無力化する防空網制圧(SEAD)も電子戦とみなされる場合があります。
また、広義にはチャフ/フレア(カウンターメジャー)を用いてミサイルを回避する行動も電子戦の一種です。
相手に偽の情報を流して作戦そのものを破綻させたり、電子技術を用いて情報を収集する行為(SIGINTやELINT)も、ある種の電子戦と言えますが、ここまで来ると空戦からはかけ離れてしまうので、また別の機会に。
BVRにおける戦術
単純な戦闘行為だけ見たとき、まず始まるのがBVR戦闘です。分かりやすく言えば「お互いに射程の長いミサイルを撃ち合う」段階です。
BVRには、ミサイルの性能、母機の推力、味方間の情報共有能力など、様々な要素が存在し、一口で解説することは困難です。しかし、BVRにおける共通の概念があります。それは「最終的にミサイル本体に込められた運動エネルギー量が高い方が勝つ」です。難しく聞こえますが、要は「ミサイルをどれほど遠くに飛ばす力があるか」です。
ミサイルの運動エネルギー
空戦を追求していくと、ある一つの要素に必ず辿り着きます。
それは「運動エネルギー」です。あまりにも重要なので大きく書きました。
BVRとは、言ってしまえば「運動エネルギーの微妙な競り合い」です。
空対空ミサイルのロケットモーターは最初の数秒間しか燃焼せず、発射後の大半の時間は滑空していきます。つまり加速できるのは最初だけで、一度失速したら運動エネルギーを回復できず、そこで終了です。
運動エネルギー(Kinetic Energy)と言うのは、簡単に言えば飛翔体の速さです。ミサイルや航空機のエネルギー量は、速さと高度で決まります。ミサイルは、より速く、より高度が高いほど遠くに届きます。敵機にミサイルを当てたければ、いかにミサイルを失速させることなく敵機まで到達させるかが重要になります。
ミサイルを命中させる
命中させるためには、ミサイルを撃ち出す機体(母機)は出来る限り速度と高度を稼がないといけません。
高度が高いほど空気が薄くなって空気抵抗が減るうえ、高い位置から下に向かって滑空する形になるので重力が引っ張ってくれます。
また、撃ち出す際の母機の速度が速いほど、その分ミサイル自身も速くなります。ボールを棒立ちで投げるよりも、助走をつけて投げた方が遠くまで飛ぶのと同じ原理です。
BVRで勝つためには、相手よりも多くのエネルギー量を稼がなければいけません。AIM-120やAIM-54などが直線ではなく山なりに飛んでいく(ロフトする)のはこれが理由です。

ミサイルの回避
BVRにおけるミサイルの回避は「相手のミサイルの飛翔速度を自機が上回った時点」で成功です。先述の通りミサイルはだんだん減速していくのに対し、航空機はエンジンによる推力があるので加速ができます。ミサイルを回避する上で重要なのは「①高度を下げる」「②速度を稼ぐ」「③背中を向ける」です。
①は、空気が濃い低空に引きずり降ろして失速させやすくします。②はミサイルを振り切るために速度を上げます。そして③はミサイルからの距離を稼ぎます。
③については「えっ?背中向けちゃダメじゃない?」って思うかも。でも正解です。距離が離れていれば、後ろからミサイルを被弾する事はほぼあり得ません。
相手がAMRAAMのようなアクティブレーダー誘導(ARH)方式のミサイルの場合、警報が鳴ってからの回避では、ほぼ確実に手遅れです。また、R-27ETのようにそもそもミサイル発射警報が鳴らないミサイルなどもあります。
相手がどのタイミングで撃ってきたのかをきっちり把握・予測し、相手が発射したと判断したらすぐに回避機動に入らねばなりません。
基本的にミサイルは、目標の未来位置を計算しながら誘導します。ゆえに、撃ち出されて間もない段階で急旋回を行うと、ミサイル側が予想する未来位置が急変し、ミサイルを大きく振り回す事が出来ます。

ただし、相手との距離が近づくにつれて未来位置の差が少なくなっていきますし、ミサイルのエネルギー量も多くなって行くので、回避の成功率は下がっていきます。
相手のミサイルのエネルギーを減らす以外にも、山などの陸地を盾にしてミサイルのシーカーを遮ったり、ミサイルを山に直接衝突させるテレインマスキング(Terrain Masking)もしくはNOE(Nap Of the Earth)と呼ばれる戦術もあります。
相手のミサイルにエネルギー量で勝てないと判断した場合は、チャフやフレアなどのカウンターメジャーを使用します。大抵の場合は、回避の成功率を上げるためにビーミング(Beaming)もしくはビーム機動(Beam Maneuver)と呼ばれる機動と併用されます。
ビーミングとは「目標に対し左右どちらか90度の角度を維持する」という機動です。パルスドップラーレーダーは近づいている最中or遠ざかっている最中の目標しか探知できないため、ピッタリ垂直を維持するとレーダーは目標を探知できなくなります。この状態でチャフを撒くと、ミサイルは急に目標が分裂したと勘違いします。そして、チャフに向かって突き進んでしまうわけです。
ちなみに、カウンターメジャーを使用しないと回避できない射程の事をMAR(Minimum Abort Range)と呼びます。MARの外に居る限りは、カウンターメジャーを使用せずとも回避機動のみで回避ができます。MARはミサイルの種類や交戦する速度・高度によって変動します。
BVRで勝つためには
BVRで相手に勝つためには、上述の攻撃と回避を応用し、相手を不利な状況に追い込む必要があります。
よく使われる戦術としてクランキング(Cranking)またはクランク機動(Crank Maneuver)と、チープショット(Cheapshot)があります。
クランキング
クランキングとは、ミサイルを誘導しながら回避の準備をする機動です。私が知る限り、BVRにおいて最も効果的な戦術です。 今回は、AMRAAMを搭載しているという想定で話を進めます。
下の図では、紫色の線が自機のレーダーの視野角を表しています。

ミサイルを発射した直後すぐに左右どちらかに旋回を行い、目標がレーダーの視野内にギリギリ収まる角度を維持します。例えばF-16Cのレーダーは左右に60度ずつ視野角があるので、58~60度くらいを維持します。
ミサイルがピットブル(アクティブレーダー)に切り替わるまでその角度を維持し、切り替わったら敵機に背を向けて離脱します。必要があれば、そのまま反転してもう一度交戦を行います。
ミサイルを発射した直後の旋回を行う際、高度を下げてミサイルを低空に引きずり降ろすのも効果的です。
チープショット
チープショットは、当てる気のないミサイル、すなわち牽制弾です。早い段階で撃っておけば、相手が予想していなかった場合「やべえ、撃って来た!」と焦って回避します。相手が撃つ前に回避をさせられますし、相手が回避行動を終える前にこちらは有利な状態で距離を詰めることができます。
チープショットで上手く相手をかき乱せれば、相手が反撃しようと頭をこちらに向けた瞬間に次弾が相手を仕留める、なんて事もできたりします。
この戦術は、確実に相手を撃墜するというよりは制空権を広く確保するような作戦で用いられる場合が多いです。
BVRからWVRへ
BVRで決着がつかず双方が近づいて行き、ついにマージ(MERGE)するとWVR、すなわちドッグファイトへ移行します。
ドッグファイトは後日別の記事にて解説しようと思いますので、少々お待ちください。
読んでいただきありがとうございます。よろしければYouTubeの方もご覧ください。
【Zenfone 10】スマホ買い換えました
スマホを買い換え。
今回の機種は今まで触ったことが無いシリーズなので、せっかくだから記事にしたろうかなと思いました。ここ最近フラシムの投稿ばかりしていましたが、一応雑多ブログなので。
ちなみにこのレビューは一切金ヅル案件じゃないので、良い物は「良い」と言いますし駄目な物は「駄目」と言います。
今回買ったのは…

ASUS Zenfone 10 です!
Amazonにて106,800円で購入しました。
メモリ8GB、ストレージ256GBモデルです。ラインナップの下から2番目に当たるモデルですね。
そもそも買った理由
「お前さ、1年ちょい前くらいにもスマホ買い替えてなかったっけ?」
はい、そうです。でも買い替えたからには理由があります。
なにせ、今までのスマホがクソすぎる。
聞いてくれ。
まずワイは最初に、Xperia XZっていう迷走してた頃のSony製スマホを買うてしもうたんや。こいつはマジで地雷。3分間カメラを起動してるだけでオーバーヒートして何もできなくなる。夏場は置いておくだけで熱暴走して勝手に落ちる。日本製のくせに日本の気候に耐えられないスマホや。
次にAQUOS Sense 3 plus サウンドっていうミドルクラスのスマホをまぁまぁ長い事使ったんや。こいつはそこそこだったけど、システムとアプリのアップデートでメモリもストレージも足らんくなって、使い物にならんくなったんや。画面が暗すぎるし、液晶の色味がなんかおかしくて、発色が超不自然っていう欠点もあった。
ほんで、もう一度Xperiaに希望を見出そうとして、2022年末に1円キャンペーンでXperia 10 IVを買うたんやけど、こいつも正直アカンかった。なあ教えてくれ、どうしてAQUOSよりメモリが1.5倍も増えてるのに、AQUOSで使ってた同じアプリが何度も何度も落ちるんや?ちなみに理由はだいたいわかる。システムがメモリを確保しようと、優先度の低いアプリを勝手に落としてメモリを開放するんや。ゲームやってる最中にLINE届いて、メッセージを確認すると、ゲームを含む他のアプリは全て落とされとる。GoogleマップとLINE MUSICを同時に使うと十中八九どちらかが落ちるで。そんな感じや。
…という背景があり、耐えかねて良いスマホを買いました。こんなの毎日使ってられるか!そういう事です。ちなみに私は林檎アレルギーなので、iPhoneだけは絶対に使いたくありません。でもお前iPad使ってなかったっけ?
うーん、どうしよう。
日本製のハイエンドって死ぬほど高いし、何せ個人的には上記の経緯がある以上、日本製スマホへの信頼が底をついています。
でも、AUXケーブルで車に繋いで音楽流してるから、2.5mm端子の無いGalaxyとかはなあ…
そこで思い出しました。良いのあるじゃん。
しかも2.5mm端子あるじゃん。サイズとデザインも悪くないじゃん。
はい、買いまーす。
\ピンポーン アマゾンデース/
開封
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!





ケースが付属していました。
こういうのってTPU素材の透明なソフトケースが付いていることが多いと思いますが、これは珍しくプラスチック製のハードケースです。ですが、今回はリングとマグネット付きの樹脂製セミハードケースを一緒に注文しているので、こちらを使います。

車を運転する際にナビ兼メディアプレイヤーとして使うので、リングとマグネット用の鉄板が両方ついている物を選びました。

底にはASUS純正の充電器とオス/オスのUSB-Cケーブルが入っていました。
箱開けて思ったんですが、既にASUSと日本製メーカーの決定的な差が出てますよね。
ケースも充電器も付いてないじゃん、日本製。しかも買おうとするとすげえ高いじゃん。
外装

本体が登場!
iPadで写真を撮っているので画質がイマイチで、写真からは分かりづらいのですが、
バックパネルはものすごく質感が良いです。
マット加工の樹脂で、とても高級なイメージです。めちゃくちゃかっこいい。バックパネルのマット加工って、何というかこう…安っぽくてダサい奴が少なからずあるんですけど、Zenfone 10は全く安っぽくない。

えっ、すげえかっこいい。ネットで見たのと全然違う。正直こんなに質感が良いとは思わなかった。
カメラの配置は、デカいレンズが縦に2つ並んでいるというシンプルなもの。ここ最近のiPhoneとかGalaxyのカメラレンズの配置、実用的ではあるんでしょうけど個人的にはあんまり好きじゃないんです…
Zenfone 10は特に「何だよこれ」感はなく、良いデザインだと思います。

画面サイズは5.9インチ、液晶はAMOLED(アクティブマトリックス式 有機EL)です。
大きすぎず小さすぎず、すごく丁度良いサイズ感ですね。これ以上小さいと画面上の文字とか読みづらいかも。
セットアップ

付属の充電器を繋いで、電源を入れました。見慣れたASUSのロゴが出てきます。
かっこいいバックパネルを覆ってしまうのは少し残念ですが、傷ついたり汚れたりするのはもっと残念なので、保護ケースを装着しました。

おーーー!良いね!
セットアップ画面、まぁまぁ作り込んであります。XperiaとかAQUOSでは、ここまで凝った感じではなかった覚えがある。Android標準だなーって思ったのは覚えています。
セットアップ画面から、UIのスタイルをAndroid純正とASUSオリジナルの2種から選べます。せっかくですので、ASUSオリジナルを選んでみました。

ここからはサクッとセットアップします。
Zenfoneは普通に普段使いするので、USB-CケーブルでXperiaと繋いでからデータを丸っと移行します。
並べて見るとわかりますが、やっぱXperiaってかなり細長いですよね。正直横幅が狭くて、あんまり使い心地は良くなかった……これが好きな人も居るのでしょうけれども。

無事にデータ移行が完了しました。いつも通りALTER EGOのエスちゃんがロック画面にいます。

データ移行が終わったので、一旦両方とも電源を落としてSIMカードを移動します。SIMピンでZenfoneのおケツをブスリ♂
ちなみにこの時点でようやく知ったんですが、Zenfone 10ってMicroSD入らないんですね…少しだけ残念。まぁ128GBですらまだ使い切ってないので、無くても何とかなるとは思いますが。
実際に使ってみる
画面ロックを解除して、指紋を登録しました。

まず思ったのが、指紋認証が鬼のように速い。
最初「なんでロック画面表示されないんだろう…」って不思議だったんですけど、指紋認証が爆速すぎて表示されてないだけでした。マジで指が触れた瞬間ロック解除される。やべぇ。
ちなみに、この時点で思った事があります。新しい端末特有の、雪崩のような通知が来ていません。というのも、SoftBankとかdocomoでスマホを買ったときのような、通信キャリア純正アプリが一切入っていません。だからこんなにスッキリしてるんですね。SIMフリーって良いなぁ。
キャリア純正アプリって、設定しなきゃいけない事が山ほどあるのに、結局ほとんど使わないんですよね。SoftBankの純正アプリとか、マジで契約時と解約時しか触ってないぞ…?

インカメラは、液晶を貫通してるアイランド型。これ、少しだけ懸念がありました。「ゲームやってる最中とかネットサーフィン中とか、左上の情報隠れない…?」

結論:大丈夫でした。
ウェブブラウザやゲームを起動している間は、画面上端に黒いフチと通知バーが現れます。こういう配慮が隅々までしっかり行き届いているの、正直言って感動しています。
ネットサーフィンは余裕でサクサク動きます。最近どんどん重くなっていくChromeも、Zenfoneだと全然軽く感じますね。
また、スピーカーはなんとステレオです。ちゃんと画面の上下にスピーカーが付いていて、横にするときっちりステレオで聞こえます。
試しにゲームをやってみたら、結構凄い機能を発見
自分はあまりスマホでゲームをやる方ではないんですけど、唯一ウマ娘はやり込んでいるので、こちらで試してみました。すると…
「データをダウンロードします 22GB」 草。
現在、光回線の開通が終わるまでVDSLとUQのWiMAX+5Gというクソザコ回線でやりくりしています。完了まで何十時間かかるんやろなあ…

ウマ娘を起動すると「Game Genie」という、ファミコンのチートマシンみたいな名前のアプリケーションのオーバーレイが起動しました。画面左上からスワイプすると呼び出せるこのオーバーレイですが、結構凄い。
リフレッシュレート(144, 120, 90, 60Hz)の固定や、ゲーム中の着信や通知を無効化したり、マクロを組んだりもできます。ですがやはり一番すごいのは、パフォーマンス制御だと思います。一番右、縦に4つ並んでるやつですね。
それぞれ「HIGH PERFORMANCE」「DYNAMIC」「DURABLE」「ULTRA DURABLE」というプリセットが選べます。バッテリーをたくさん消費してゲームの動作性を上げるか、動作性を下げてバッテリー消費を抑えるか、という設定ができます。
ASUS製なので、ROG PHONEの技術とかをフィードバックした物なんでしょうか。
おわり
今の段階でレビューできるのはこれくらいでしょうかね。私はガチレビュワーではないので、ベンチマーク取って比較したりはしません。
まだ使ってみないと分からない部分などあるので、しばらく使ってみて、何か気づいたらその都度書こうかなと思います。今回はこの辺で。
読んでいただきありがとうございます。よろしければYouTubeもご覧ください。
【DCS World】空戦の最中に喋る無線を、可能な限り分かりやすく解説
DCSの無線解説シリーズ第2弾です。
今回は、「空戦中の無線通話」を、できるだけ分かりやすく解説します。「FOX 2!」とか「SPLASH ONE!」みたいなやつですね。ただそれっぽい事を言うだけではなく、ちゃんと正しいコールをしてかっこよく敵機を墜としたいですよね。

エースコンバットや洋画などでよく耳にする方も多いかと思いますが、大抵の場合ちょっと使い方が間違っています。「これって実はこういう意味なんだぜ!」とイキれる説明できるようになるとキモいかっこいいと思います。知らんけど。
正確さを重視しているつもりですが、所々簡略化しつつ解説します。完全に勉強したい人は、公開されている米軍の資料を参照してください。
ブレビティについて
軍用機同士の通信では、基本的に「ブレビティ」というものが使用されます。特定の行動をする際に使う合言葉のようなものですね。
米軍及びNATOでの正式名称は「Multi-service Tactical Brevity Codes」と言い、英語版のWikipediaにほぼ全てのブレビティが載っています。
本職のパイロットは、これらを全て頭に叩き込んでいます。
例えば、僚機に「こちら2番機!アクティブレーダーミサイルをボアサイトモードで発射する!危険だからこちらより前に出るな!」と話すより「2, Maddog」と伝えれば、その一言で味方に意志を伝える事ができます。早いし、秘匿性が高いし、言い間違いも少なくなりますね。これがブレビティの意義です。
空戦中の無線は、特にブレビティがたくさん出てきます。すべてを解説するのはさすがに無理なので、最低限よく使う物だけ詳しく解説します。
ショットコール(FOX)
ミサイルを撃つ際に発信する符丁です。おそらく、最もポピュラーでよく出てくるものだと思います。Fox 1から3まであり、それぞれ異なる意味を持ちます。
Fox 4 は元々機銃掃射の意味でしたが、現在では「Guns」という単語に置き換わっており、使われていません。
FOX 1
セミアクティブレーダー誘導(SARH)の空対空ミサイル(AAM)を発射する際に使われます。
SARHとは、自機から目標に対して強力なレーダーを照射し、目標から跳ね返ってくるレーダー波を基にミサイルが誘導する方式です。DCSではAIM-7 スパローや、STTロック状態のAIM-54 フェニックスなどがこれに該当します。
FOX 2
赤外線誘導(IRH)のAAMを発射する際に使われます。
IRHとは、目標が発する熱を追尾してミサイルを誘導する方式です。DCSではAIM-9 サイドワインダーなどがこれに該当します。
FOX 3
アクティブレーダー誘導(ARH)のAAMを発射する際に使われます。
ARHとは、ミサイル自身のレーダーで目標を探知して誘導する方式です。DCSではAIM-120 AMRAAM、TWSロック状態のAIM-54などがこれに該当します。
ミサイル自身のレーダーが起動して追尾を開始した際は「PITBULL」というコールをします。
TALLY
TALLY(タリー)は「敵を目視した」という意味です。味方機にはTALLYではなくVISUAL(ヴィジュアル)を使います。
逆に、敵を目視できなかった場合はNO JOY(ノージョイ)と言います。パトレイバーでも出てきてましたね。
SPLASH
SPLASH(スプラッシュ)は「目標を撃墜した」という意味です。単体でも意味を成しますが、撃墜した機種や数などを付加すると尚よろしい。
例えば「SPLASH one Flanker」は「フランカーを1機撃墜」です。
BULLSEYE と BRA
ショットコールとセットになってコールされることが多いのが、目標の位置です。目標の位置は主に「BULLSEYE(ブルズアイ)」と「BRA(ブラ)」または「BRAA(ブラー)」で表されます。それぞれ見ていきましょう。
BULLSEYE
ブルズアイとは、位置関係を報告する基準地点です。ある一点にブルズアイを定め「ブルズアイから、この方位に、この距離進んだ位置」という形式で報告を行います。対象の高度と一緒に報告される場合が多いです。ブルズアイの位置は作戦ごとに異なります。

例えば「BULLSEYE 114/51 4,000(ブルズアイ・ワンワンフォー・フィフティーワン・フォーサウザン)」でしたら「ブルズアイから 方位114の方向に 51マイル進んだ位置にいる 4,000ftの目標」という意味になります。
ここで注意なのが、ブルズアイロケーションでは「114 for 51」のように「for」で区切ってはいけません。「114/51(ワンワンフォー・フィフティーワン)」と、続けて読みます。私これ未だにやらかします
また、ブルズアイは必ずしも「BULLSEYE」とは限りません。作戦地域が当初のブルズアイより離れすぎていて役に立たない場合などは、ブルズアイの代わりに新たな基準地点を設定することがあります。例えば新しい基準地点の名前が「DEPOT」でしたら「DEPOT 223/45 9,000」のようになります。
大抵の場合、機体側にブルズアイの座標が登録されていれば、レーダー画面上に表示されていることが多いです。パイロットはそれを読み上げるだけで良いわけです。

BRA
「BRA」もしくは「BRAA」とは、それぞれ「Bearing, Range, Altitude, Aspect」の略です。それぞれ「方位、距離、高度、向き」をひとまとめにしたもので、言わば「自分から見た相手の位置取り」です。Aspectは省略される場合もあります。
例えばAWACSから「Chevy 1-1, Magic, BRAA 330/40 20,000 HOT」と報告されたならば「Chevy 1-1 から見て、方位330、距離40マイル、高度20,000ft、こちら向き」という意味になります。
Aspectに関しては、大きく分けて4種類あります。「HOT」はこちら向き(接近中)、「COLD」は後ろ向き(離脱中)、「FLANK/FLANKING」は横向き(左右どちらか)、「BEAM/BEAMING」はぴったり直角に横向き(レーダーに探知されないための戦術)に移動しているという事です。厳密には何度~何度のアスペクト角、みたいな定義がありますが、今回は割愛。
味方機、不明機、敵機
同士討ちを避けるためにも、敵味方識別は大切です。敵か味方かを知らせるためのブレビティも当然あります。
味方機はFRIENDLY(フレンドリー)、不明はBOGEY(ボーギー)、敵はBANDIT(バンディット)もしくはHOSTILE(ホスタイル)と呼ばれます。敵機は2種類に分かれており、BANDITは「敵だが交戦許可が下りていない目標」、HOSTILEは「交戦許可が下りている敵」となります。HOSTILEではなくBANDITと交戦しそうな場合はAWACSに確認しましょう。
TRACK
空戦なら当然、相手は動き続けます。目標がどちらに向かって移動しているのか、把握しなければなりません。そこで使われるのが「TRACK」です。
TRACK+方角という形式で使用されます。例えば「TRACK southwest」は「南西に移動中」という意味です。
SPIKE
SPIKE(スパイク)とは「相手にロックオンされている」という意味です。
例えば「SPIKE 2 o'clock Flanker」は「2時方向からフランカーにロックされている」という意味になります。
RAYGUN と BUDDY SPIKE
空戦では、敵味方が入り乱れていると同士討ち(BLUE ON BLUE)が高確率で発生します。同士討ちは絶対にあってはなりません。
味方に同士討ちの可能性を知らせる手法がいくつかあります。
RAYGUN
RAYGUN(レイガン)は「不明機を捕捉したけど、味方からロック喰らってる奴いる?」っていう質問です。
「RAYGUN BULLSEYE 111/22 33,000」と言えば「ブルズアイより方位111/22マイル 33,000ftの不明機をロックした」という意味になります。
もし下の言葉が聞こえてきたら、すぐにロックを外しましょう。
BUDDY SPIKE
味方からレーダーロックされていることが判明した場合は、大きな声で BUDDY SPIKE(バディスパイク)と叫びましょう。どの機体にロックされているのかと、可能であればブルズアイロケーションも一緒に報告すると良いです。
例えば「BUDDY SPIKE F-16 BULLSEYE 252/52 1,000」みたいな感じでしょうか。
交戦
敵と交戦する事をENGAGE(エンゲージ)と言います。これは有名かも。
「ENGAGING HOSTILE at BULLSEYE 251/35 11,000」みたいに使います。
敵機と接近、BVRからWVRへ
視程外での交戦を「BVR - Beyond Visual Range」、目視での交戦を「WVR - Within Visual Range」と呼びます。もちろんBVRが先に来てから、距離が詰まるとWVRが始まります。WVRに移行するときのコールがあります。
MERGE
MERGE(マージ)とは「敵機と至近距離まで接近」つまりドッグファイト開始の合図です。
AWACSからこの言葉を告げられたならば互いに目視確認できる距離まで近づいたという事です。サイドワインダーを選択して辺りを確認しましょう。
ANCHOR
ANCHOR(アンカー)は「ドッグファイト中のため動けない」という意味。
「ANCHORED HOSTILE Fulcrum」で敵のMiG-29とドッグファイト中。
防勢と回避
戦闘は文字通り戦いなので、相手を追い込むこともあれば逆に追い込まれることもあります。
回避など、防衛のために機動する事をDEFEND(ディフェンド)と言います。また、防勢に追いやられた状態をDEFENSIVE(ディフェンシブ)と呼びます。
「DEFENDING BANDIT」と言えば、敵機の攻撃を回避中であることが伝わります。
AWACSとのやり取り
空戦を有利に進める上で欠かせない存在が、AWACSやGCIです。しかし、AWACS/GCI役のプレイヤーと上手く交信できないと、もったいないですよね。

この項では、AWACSとの通信を順を追って解説します。例文は、自機のコールサインが「Crafter 2-1」、AWACSが「Skybird」です。
AWACSがオンラインになった際の通知
AWACSやGCI(まとめてTAC C2と呼ばれます)が利用可能になった場合「SUNRISE」というコールがなされます。
"All stations be advised, Skybird is SUNRISE on 134.0"
(各員へ通達, Skybirdは周波数134.0で利用可能だ)
逆にオフラインになる場合は「MIDNIGHT」とコールされます。
"All stations, Skybird is MIDNIGHT"
(各員へ通達, Skybirdは利用できなくなった)
チェックイン
AWACSが利用可能になったら、まずは「今から君の指揮下に入るよ」という旨を伝えなければなりません。これは「チェックイン」と呼ばれます。
始めにブルズアイロケーションの整合性を確かめるため「アルファチェック」というものをやります。
例1(AWACS側が戦闘機に情報を渡す場合)
"Skybird, This is Crafter 2-1, Checking in, Single ship of F-16, Request ALPHA CHECK BULLSEYE"
(Skybird, こちらCrafter 2-1, チェックインする, 1機のF-16だ, BULLSEYEからのアルファチェック求む)
"Crafter 2-1, Skybird, ALPHA CHECK BULLSEYE 220/40"
(Crafter 2-1, Skybird, 貴機の位置は BULLSEYE 220/40 だ)
"Skybird, Crafter 2-1, Good ALPHA CHECK"
(Skybird, Crafter 2-1, アルファチェックよし)
例2(戦闘機側がAWACSに情報を渡す場合)
"Skybird, Crafter 2-1, Checking in, Flight of one F-16 at BULLSEYE 220/40 25,000, I have 6 AMRAAMs, Available for tasking"
(Skybird, Crafter 2-1, チェックインする, BULLSEYE 220/40 25,000ft を飛行中の1機のF-16だ, 6発のAMRAAMを装備している, 作戦行動可能だ)
"Crafter 2-1, Skybird, Good ALPHA CHECK, Stand by"
(Crafter 2-1, Skybird, アルファチェックよし, 待機せよ)
チェックインの方法はAWACSをやる人やサーバーによって異なりますが、私が聞いた限りでは例1が標準的な方法らしいです。
戦闘機がAWACSにリクエストできる事
戦闘に必要な情報を、AWACSに求める事ができます。覚えておくべきは、主に3つです。
BOGEY DOPE
BOGEY DOPE(ボーギードープ)は「一番近い脅威をBRA形式で教えてくれ」です。
"Skybird, Crafter 2-1, Request BOGEY DOPE"
(Skybird, Crafter 2-1, BOGEY DOPE を要求)
"Crafter 2-1, Skybird, BRA 133/45 24,000 HOT, HOSTILE, Type: Flanker"
(Crafter 2-1, Skybird, 方位133/45マイル 24,000ft 接近中, 敵機, 機種はフランカー)
DECLARE
DECLARE(デクレア)は「目標が敵か味方か照合してくれ」です。ブルズアイロケーションで対象の位置を伝えましょう。
"Skybird, Crafter 2-1, DECLARE BULLSEYE 320/60 35,000"
(Skybird, Crafter 2-1, BULLSEYE 320/60 35,000ft の目標を判別してくれ)
"Crafter 2-1, Skybird, Contact is HOSTILE, North group TRACK south, TARGETED by Ford 1-1"
(Crafter 2-1, Skybird, 照合結果は敵機だ, 南に移動中の北方のグループ, 現在 Ford 1-1 が捕捉中)
PICTURE
PICTURE(ピクチャー)は「敵機の配置など全体像を教えてくれ」です。ブルズアイロケーションでの応答となります。
"Skybird, Crafter 2-1, Request PICTURE"
(Skybird, Crafter 2-1, PICTUREを要求する)
"Crafter 2-1, Skybird, PICTURE: 2 groups, Lead group BULLSEYE 257/44 10,000 TRACK east HOSTILE, Trail group BULLSEYE 240/61 22,000 TRACK northeast, HOSTILE"
(Crafter 2-1, Skybird, PICTURE: 2つのグループが存在, 戦闘のグループは BULLSEYE 257/44 10,000ft 東に移動中 敵機, 後方のグループ BULLSEYE240/61 22,000 北東に移動中 敵機)
ショットコールと、敵機撃墜の報告
交戦になると、当然敵機とミサイルを撃ち合います。自分が撃ったことの報告と、ミサイルが当たったかどうかの報告があります。
敵機撃墜それぞれ、戦闘機側から報告される場合と、AWACS側から報告される場合があります。
ショットコール
前述のFOXと、ブルズアイを組み合わせて使われます。AWACSが、現在どのグループに向けて撃ったのかを知らせてくれる場合があります。
"Crafter 2-1, FOX 3, BULLSEYE 233/41 36,000"
(Crafter 2-1, FOX 3, ブルズアイより方位233/41マイル 36,000ftの目標)
"Crafter 2-1, Skybird copy shot, Southeast lead group"
(Crafter 2-1, Skybird 了解, 対象は南東の先頭グループだ)
命中:戦闘機側からの報告
戦闘機が敵機の撃墜を確認した場合は、先述の通り「SPLASH」がコールされます。
"Crafter 2-1, SPLASH one Fencer"
(Crafter 2-1, Su-24を1機撃墜)
"Crafter 2-1, Good SPLASH"
(Crafter 2-1, Skybird, グッキル)
命中:AWACS側からの報告
AWACSより、何らかの目標に対しVANISHED(ヴァニッシュド)というコールがなされた場合、撃墜した可能性が高い事を意味します。単純にレーダー上から消えただけで、撃墜したかどうか不明な場合はFADED(フェイデッド)とコールされます。
"Crafter 2-1, FOX 3, Lead group"
(Crafter 2-1, FOX 3, 先頭のグループ)
"Skybird, Lead group VANISHED, Trail group continue HOT"
(Skybird, 先頭のグループ消滅, 後方のグループは以前接近中)
AWACSから戦闘機への指示
AWACSは、管制下の戦闘機に各種指示を出すことができます。
RECOMMEND COMMIT
ある機体に脅威が迫っている場合、COMMIT(交戦)をRECOMMEND(推奨)する事があります。
"Crafter 2-1, Skybird, Recommend COMMIT threat BRA 144/40 30,000, Type: MiG-29"
(Crafter 2-1, Skybird, 脅威への対処を推奨 BRA 144/30 30,000ft, 機種はMiG-29)
"Copy, Crafter 2-1, COMMIT"
(了解, Crafter 2-1, 対処する)
BDA
AWACSだけでなく対地任務の管理も行っているC2の場合、対地攻撃の後に戦闘効果判定(BDA - Battle Damage Assesment)を要求してくることがあります。
"Crafter 2-1, Skybird, Report BDA"
(Crafter 2-1, Skybird, BDAを報告されたし)
"Crafter 2-1, Skybird, BDA: 3 bombs hit, 1 bomb missed, 3 armors destroyed, BDA over"
(Crafter 2-1, Skybird, BDA: 爆撃は3発命中, 1発命中ならず, 重装甲車両を3両撃破, BDAおわり)
DCSで実際にやり取りしている映像
例えば、HoggitにはAWACS/GCI用のインフラが用意されているので、このページで解説した内容の無線がよく飛び交っています。
今朝のHoggitは優秀なGCIが居てくれたおかげで、味方がかなり押していました#DCS pic.twitter.com/yC8QrMsMZU
— チビすけ (Chibi-Ske) (@tibi241_TYFE) October 27, 2023
ちなみにこの動画内で私は「ブルズアイロケーションをforで区切る」という凡ミスを犯しています。でもDCSだから許される!
読んでいただきありがとうございます。よろしければYouTubeの方もご覧ください。
【DCS World】DCSが嘘みたいに軽くなる魔法
DCSを触ったことがある人なら、必ずしも一度は思った事があるはずです。
「SSD使ってるのに読み込み全然終わらん!」
「全然起動しねぇ!」
「また固まった!」
「何なんだよこれ💢💢」
はい。DCSとはそういう物です。
そんな、世界一重いと言っても過言ではないゲームであるDCSですが、なんと動作が軽くなる裏技があったりします。
そんなこんなで、今回は「迫真フラシム部・DCS軽量化の裏技」です。
fxoとmetashaders2を消す
DCSって、実は全く要らないファイルを蓄積してるんですよね。
それが「fxo」と「metashaders2」です。
「保存したゲーム」の「DCS」フォルダ内に、そいつらは存在します。
C:\Users\ユーザー名\Saved Games\DCS\

まずは、この2つのフォルダ内を空っぽにしてください。
フォルダ自体は残しておいて大丈夫です。
実は、これだけで読み込み時間が体感上4倍くらい速くなります。
しかし、fxoやmetashaders2はアップデートや変更が入る度に復活するため、定期的に中身を空にしてやる必要があります。
私の場合、適当にバッチファイルを書いて、起動する前に毎回それを使って該当ファイルを削除しています。
Windowsのハイバネーションを無効化して仮想メモリを増やす
Windowsには「ハイバネーション」と呼ばれる、スリープ状態からの立ち上がりを速くするためだけに存在している機能があります。
タブレットやノートPCだと役に立っている機能かもしれませんね。
実はこの機能、ストレージを10GBくらい食っていたりするんです。
特にデスクトップを使っていて、特に特にDCSをやっている人でしたら、わざわざデスクトップでスリープ状態にしている人など居ないと思うので、無効化一択です。

コマンドプロンプト(cmd)を管理者で開いて、以下のコマンドを打ちます。
powercfg -h off
エラーっぽい物が特に出て来なければ、そのままコマンドプロンプトは閉じてOK。
これでハイバネーションが無効化されました。
ここでCドライブのストレージを確認してみてください。数~十数GB単位で容量が空いたはずです。
次に、割り当てる仮想メモリ(ページングファイル)を増やしましょう。
スタートメニューの検索欄から「システムの詳細設定の表示」→「パフォーマンス」から「設定」→「詳細設定」タブから「仮想メモリ」の「変更」に入ってください。

↓

↓

↓

ここで、仮想メモリの割り当てができます。
Cドライブを選び「カスタムサイズ」を選択、割り当てたい仮想メモリのサイズをMB単位で入力します。
私の場合、ハイバネーション無効化でCドライブに16GBほど空きができたので、20GBほど仮想メモリを割り当てました。
元々32GBほどメモリを実装していたので、32+20GBで実質的にメモリが52GBとなっています。
お使いのPCのメモリ容量によって仮想メモリの割り当て量を変えてください。
ひとまずハイバネーション無効化で空いた分を仮想メモリとして割り当て、足りないようであれば少しずつ増やしていくのが良いでしょう。
DCSのグラフィック設定を見直す
デフォルト状態や、自動で最適化した場合はかなり重いグラフィック設定になっている可能性が高いです。
以下が私のグラフィックの設定になります。

特筆すべき点としては
- 「Res. of Cockpit Displays」を「512」
- 「Terrain Textures」を「Low」
- 「Anisotropic Filtering」を「x8」
- 「Clouds」を「Low」
- 「Water」を「Low」
辺りでしょうか。
ここらへんの設定は、品質を下げても見た目が大きく損なわれるという事があまりありません。
逆に言えば上げても重くなるので、品質を下げても問題なし。
異方性フィルタリング(Anisotropic Filtering)に関しては、8倍(x8)が最も軽くなるらしいです。
まとめ
上記の3つをやるだけで、少なくとも読み込み速度は爆上がりしているはずです。
仮想メモリも、多めに割り当てれば基本的に落ちなくなります。
また先述の通り、fxoとmetashaders2は蓄積されます。何かおかしいな、と思ったらまずはこの2つを確認してみましょう。
それでもDCS落ちるんだが?
DCSが固まって落ちるただ一つの原因、それは…
メ モ リ 不 足 で す
「まぁグラフィック下げれば16GBでも足りるやろ!」とか思ってませんか?残念ながら落ちます。
Steamや公式サイトに書いてある「推奨スペック」、ぶっちゃけ間違っています。
メモリ32GBが推奨とされていますが、絶対足りません。というか私自身、32GBで仮想メモリをオートにしてプレイしていましたが普通に落ちまくりますし、なんならブルスク吐きます。
DCSを快適にプレイするには、メモリは64GB推奨です。64GBです。
早い話メモリを増やせって事です。触ったことがないので詳しくは分かりませんが、VR環境だと64GBあっても足りないかも。
読んでいただきありがとうございます。
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